2003-08-12 Back to HomePage
 
こんにちは、自然風景写真館の鳥越です。

自然風景写真館ブログの第28号をお届けいたします。


§4.季節の便り
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 東北地方の山形県と秋田県の県境にまたがる鳥海山(ちょうかいさん)は
海抜2236m。日本海のすぐそばに屹立する火山性の独立峰です。
 有史以前より繰り返される火山活動と、冬の日本海から吹き寄せる
大量の風雪によって、隆起と浸食が繰り返され、山は優美なすそ野を
見せながらも、山腹には険しい谷がいくつも刻まれています。
 一方、夏には豊富な積雪が雪渓となり、そこから生まれる清らかな
水の流れによって湿原性の地形が形成されて、その周りには
実に多くの種類の高山植物の姿を見ることができます。
 今週の季節の便りは、今年の夏の鳥海山の姿をお届けいたします。

 先日の8月9日。巨大な台風10号が日本列島を縦断しました。
その台風を追いかけるように、神奈川から自動車を走らせて、
山形県の庄内平野に入りました。台風の速度が思いのほか遅く、
夜になっても外は相変わらずの強風と大雨が続いていましたが、
しかし台風一過の晴天を信じて、その日は床につきました。

 翌朝、まだすこし雨風が残っていたものの、天候は回復基調でしたので、
まずは、八幡町から「鶴間池」を偵察しました。


 ここは正規の登山道から外れたところにあるので、 ほとんど立ち寄る人がいないのですが、しかし周辺には見事なブナの 原生林が残されていて、その迫力に圧倒されました。 丹沢や奥多摩のブナは、優美さと端正さを感じさせてくれますが、 ここの森は冬には数mの深い雪に覆われる場所。その雪の圧力に 対して、まるで格闘するかように、ブナの幹はねじ曲がり、 その曲線は優美さよりもむしろ生命の力強さを感じさせてくれます。 まるで木の一本一本が意志を持っていて、今にも動き出しそうな、 そんな迫力を感じさせてくれました。

 鶴間池を後にして、滝ノ小屋口から入山して、頂上を目指します。 このころには台風の黒雲も過ぎ去り、青空が見え始めていました。 鳥海の峰嶺とすそ野はその優美な姿を現し、雲間から現れた太陽を 心待ちしていたかのように、ハクサンシャジンの花が、ゆらゆらと 風に揺られていました。

 登山道の途中、雪渓がいくつも現れます。もう8月も中旬だというのに、 いかに鳥海山には多くの雪がもたらされるか、この事実でも分かります。  この日、崩壊をした直後の雪渓にちょうど通りかかり、散乱する スノーテーブルの大きさに、自然の力の大きさをまざまざと実感しました。
 しかし雪渓は、崩壊さえ気を付ければ、普通の登山道よりも効率よく 高度を稼ぐことができるので、登山道のルートの一部になっているところが 多くあります。  また、夏スキーを楽しむひとにとっても、なくてはならないものです。 この日、ひとりのスキーヤーが雪渓を登っているを見ました。 彼は雪渓の最上部まで到達すると、庄内平野と日本海を見下ろす 見事な白いスロープの上を、美しいシュプールを描きながら 滑り降りてゆきました。
 山頂付近まで登ると、それまでの優美な風景は失われ、火山の噴火口の 荒々しい風景の中に入ります。いくつもの巨大な岩石が、まるで地中からの 圧力で、吹き上げられて積み重なったような、それは 「九州の雲仙普賢岳の山頂が、そのまま冷えて固められたような」 そんな荒涼とした場所です。
 この日は山頂まで登って、日本海に沈む夕日の眺望を楽しみ、 そしてそのまま山頂小屋に宿泊しました。
 翌朝は曇り空、しかし花を撮影するには、このくらいの天候がぴったりです。 晴れよりも、曇りや小雨の光の方が、柔らかく花の細部を浮かび上がらせて くれるからです。  霧にけむる湿原地帯を進むと、ハクサンイチゲ、ニッコウキスゲ、 チングルマなど多くの高山植物が出迎えてくれました。



 鳥海山に登るのは、これで4度目。それぞれ異なる登山口から登りましたが、 そのたびごとに違った表情を見せてくれます。山頂の荒々しい岩峰の姿、 そして山腹の優雅な湿原や、池や、原生林や高山植物などなど。 そしてきっと季節ごとにも、それらの表情は変わるのでしょう。  実にふところの深い鳥海山の自然。山に登って撮り、そして山腹、あるいは 里の風景の一部として撮る。実に魅力あふれるモチーフだと思いますが、 これからもたびたび訪れて、一生をかけて撮り続けてゆきたいと思っています。  これからも自然風景写真館にどうぞご期待下さい。 (山形県・酒田市にて) ※上記の写真は、OLYMPUSのデジカメ(CAMEDIA C-2zoom)を使用しています。 http://ascii.jp/elem/000/000/329/329956/
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