2006-10-18 Back to HomePage
 
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 こんにちは、自然風景写真館の鳥越です。


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 前回のブログでは、北アルプス・風吹大池の風景が素晴らしく、下山が予定
時間を大幅に遅れてしまい、そのため速報写真のみで失礼をしました。

 本当に素晴らしい場所だったので、来週の配信を待たずに、増刊号にて、その
様子をお届けしたいと思います。


 既にお知らせしたとおり、風吹大池(かざふきおおいけ)および風吹岳は北ア
ルプスの最北部、長野県の小谷村(おたりむら)にあります。
 近くにある有名な山は白馬岳(しろうまだけ)があり、栂池自然園(つがいけ
しぜんえん)にはロープウェイがあって毎年多くの観光客や登山者が訪れますが、
ほんの少し足を伸ばしたこの地はほとんど知られていないらしく、紅葉シーズン
の土日だというのに、会う人はほんとにまばらでした。

 正直申しますと、この場所を紹介することなく、人しれずひっそりとした場所
のままでいてほしかったのですが、自然風景写真館のファンの方に限って、こっ
そりと教えてしまいましょう。(笑)



http://www.mapfan.com/index.cgi?MAP=E137.50.14N36.48.42&ZM=5
 深夜の中央自動車道を爆走して(といってもスピード違反はしていませんので ご安心を)、長野県を目指します。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  最近は「ETC深夜割引」を利用するので、どうしても夜の移動が多くなって しまっています。健康のことを考えると、少し見直した方がいいかもしれません ね。  夜が明けて、長野県の松本平野に入りました。穂高川の流れを横切って、さら に北を目指します。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  南には台風がいるようですが、北にある高気圧の勢力圏に入っているためか、 安定した晴天が望めそうです。長野オリンピックで整備された快適な道路をひた 走ります。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  道路は近代的ですが、周囲は素朴な農村風景です。ときどき交差点を農夫や農 婦の方が自転車で横切ったりすると、「ああやっぱり安曇野(あづみの)にやっ てきたんだなあ」という懐かしい気持ちになります。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  姫川の橋を渡る時、八方尾根の向こうから白い雪をかぶった白馬岳の雄姿が姿 を現しました。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  先週に流入した寒気のためか真っ白に雪化粧しています。もう山の上は冬なの だと実感します。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  この姫川は実は北に流れ、日本海に注いでいます。もうすぐ先は新潟県の糸魚 川市(いといがわし)です。ずいぶん北まで来たんだなあと思いました。  国道を離れて細い道に入りました。国道から離れた旧道は古くからある歴史あ る道です。千国街道(ちくにかいどう)とは別名「塩の道」と呼ばれ、日本海で 取れた「塩」を信濃の国(長野県)や甲斐の国(山梨県)に運んだため、そう呼 ばれていました。険しい山道にもかかわらず、塩を内陸の村落に届けるために、 多くの人が往来したそうです。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  余談ですが、その昔、塩は大変重要な物資でした。昔は「冷蔵庫」といったよ うな便利なものはありませんので、食料を腐らせずに保存するには「干し物」に して水分を飛ばして細菌が繁殖しないようにするか、あるいは「塩漬け」にして 強烈な塩分により、やはり細菌が繁殖しないようにするしかなかったからです。 そのため「塩」は人々の生活、社会を支える最重要物資だったわけです。  「敵に塩送る」という有名な逸話があります。これは戦国時代、甲斐の国は 武田信玄の優れた治世と軍団養成のために「最強」と呼ばれ、他国を脅かしてい ましたが、しかし甲斐の国内では塩が産出されなかったため全てを輸入に頼って いました。  そこで武田信玄に対抗するために、隣国であった駿河の国の今川義元、相模の 国の北条氏康は戦略的協定を結んで、甲斐の国にたいして「塩を送らない」(今 で言うと、反西欧的国家に対する経済的制裁、といったようなものでしょうか) という決議をしました。この協定を越後(今の新潟県)の上杉謙信に持ちかけた ところ、謙信は「政治的には非常に有効な戦略だが、それを行えば関係の無い甲 斐の国の領民まで苦しめることになる」と反対し、結局、当時最大の敵対国(ラ イバル)であった甲斐の国にもかかわらず、塩の輸出は続けたということです。  そのような逸話が残るほど、「塩」というものは重要な物質だったわけです。  街道にひっそりとたたずむ立て札を見て、ふとそんなことに思いを巡らしまし た。  街道を往来する人々の無事を祈ってでしょうか。道のあちこちには石仏さまが たたずんでいます。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  長年の風雨に磨かれて、その表情はもううかがい知れないけれど、その下に隠 された暖かいまなざしを感じます。それは涼しさの中にも暖かさを感じる秋の午 後の日差しのように。  集落を離れて林道に入りました。砂利道の周りにはススキの穂がびっしりと生 えて、風にゆらゆらと揺れていましす。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  この木はヤナギの若木でしょうか。爽やかな淡い緑色をしています。多くのス スキを従えて、まるで森の中の貴公子のように端正な姿をしています。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  林道は谷筋の険しい場所を走っていますが、尾根をひとつ越えた頃、これから 向かうであろう風吹岳の姿が見えました。山頂部には雲が流れてとても気持ちよ さそうです。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  長いドライブを終えて、ようやく林道の終点、風吹岳の登山口までやってきま した。
( FUJIFILM FinePix-Z2 )  遠くへやってきはずなのに、森の中に入ると不思議に「還ってきたんだ」とい う気持ちになるのです。  今回はひさびさのテント泊、大きなザックを担いで入山です。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  先週は同じような格好で東京の新宿を歩いていたら警察の人に捕まって大変で したが、この場所でなら、何の心配もなく歩くことができます。(笑)  見事な幹の迫力です。やはり日本海側の山々ではブナがとても元気ですね。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  画一的に植林された針葉樹と違って、広葉樹の森は木々がそれぞれの個性をもっ て様々な姿で出迎えてくれます。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  どこからともなく「卵の腐ったような臭い」がしてきたと思ったら、そう、こ こはれっきとした北アルプスの火山地帯でしたね。温泉の一部が湧いているので しょう、その影響か、川の流れも硫黄の影響で黄色い色をしていました。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  この温泉があるからこそ、下山後の楽しみがひとつ増えるのです。  黄葉に染まるブナの森の上を白い雲がぽっかりと浮かんでは流れてゆきます。 爽やかな秋を満喫できる登山道です。
( Nikon D50 + SIGMA20-40mmF2.8EXDG )  うっそうとした登山道は湿り気を帯びて、ところどころ泥道になっています。 歩きづらくてしょうがありませんが、しかしこの湿り気がるからこそ森が豊かに 息づいているのでしょう。それに柔らかい登山道の方が、膝には優しいのです。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  登山道の傍らには、見事に枝葉を広げる樹木がいました。少しでも面積を多く して、太陽の力を取り込もうとしているのでしょう。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  その葉の一枚をクローズアップしてみました。観光地で見るような傷ひとつ無 い端正な紅葉ではないけれど、野性味を備えたその表情からは厳しい自然を生き 抜く力を感じることができます。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  標高を上げてゆくと、ブナは少なくなって、代わりに岳樺(ダケカンバ)の姿 が見られるようになりました。白い樹肌と天地をつかみ取るような力強い枝葉の 広がりが印象的な樹木です。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  写真を撮りながら3時間ほどゆっくり歩いて、風吹山荘に到着です。ちょうど 夕食の準備をしているらしく、小屋の壁から突き出た煙突から白い煙がもうもう と湧き上がっているところが「いかにも山小屋」という、良い味を出していまし た。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  余談ですが、この小屋のご主人が、また熊のような姿をしていて「いかにも山 の男」という雰囲気の人でした。とても太くて通る声をしていて、へなちょこの 私など吹き飛ばされてしまいそうな勢いでした。(笑)  一見、怖そうに見えるのですが、しかしその実、気配りが細かくて優しい、 とても善い人でした。それもまた「山の男」の条件です。  テント場はそれほど広くないのですが、登山者が少ないのでゆったりと過ごす ことができました。雨よけのために板が張ってあり、その上にテントを設営でき るので快適です。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  さてテントを立てようか、といったところで大変なものを忘れていることに気 がつきました。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  登山に詳しい方ならピンと来るでしょう。そう、なんとあろうことか「テント のポール(支柱)」を忘れてしまったのです!  なんということでしょう、情けない気持ちで一瞬目の前が真っ暗になりました。  しかしまあ小屋があることですし「素泊まり」でも良いかなと思って、宿泊費 を尋ねたところ、なんと5500円もします(さすが北アルプスは高い!)。  それに素泊まり小屋はそれほど広くなく、しかも既に入っている宿泊客が宴会 モードになっています。これでは快適な睡眠は期待できそうにない。。。  ポールを忘れたとはいえ、せっかく重いテントや寝袋をここまで運んできたの に、そのうえ余計なお金を払うのはなんとも癪(しゃく)な気持ちです。  なんとかして素泊まり無しで済ませたい。。ちょっと無い知恵を絞ってみるこ とにしました。何かポールの代わりになるものはないか。。  そこで目に付いたのは、撮影に使う三脚でした。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 ) 「そうだ!これをポールの代わりに使ってみよう」  へろへろしていて、なんとも情けない姿ですが、どうにかこうにかテントを立 てることに成功しました。となりの立派なテントに比べると笑ってしまうような 姿です。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  稜線と違ってここは池のそばですし、強風も吹かないでしょうから。まあこれ で大丈夫でしょう。これで一夜が過ごせれば御の字です。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  中に入ってみると、案外快適です。これは決して強がりではありません。(笑)  さてテントの強引な設営(?)も無事に済んだことですし、夕暮れ前に風吹 大池の散策に出かけました。素敵な小湿原と木道があります。
( Nikon D50 + SIGMA28-70mmF2.8EX )  夕暮れ前の無風状態、周囲は静寂に包まれていて、池の水面はまるで鏡のよう に対岸の木々たちを映し出していました。
( Nikon D50 + SIGMA28-70mmF2.8EX )  北アルプスでは最大の池だということです、意外な感じがしましたが、そうい われて地図を調べてみると、確かにそのようです。白馬大池もかなり大きいです が、わずかに足りないようです。  そのような立派な池にもかかわらず、白馬方面の賑わいにくらべて、ここは本 当に静かなたたずまいを見せていました。
( Nikon D50 + SIGMA28-70mmF2.8EX )  周囲は霧に包まれて神秘的なたたずまいです。日が暮れるとともにだんだんと 周囲の光は青みを帯びて、湖畔はますます神秘的な色合いを見せるようになりま した。
( Nikon D50 + SIGMA28-70mmF2.8EX )  日が完全に暮れると、周辺を散策していた何人かの登山者も小屋に戻ったので しょう、あたりは完全な静寂に包まれてしまいました。下界の観光地の池では味 わうことのできない、何も聞こえない、完全な静寂に包まれています。  対岸の木々たちも、肉眼でかろうじてうっすらとその姿を認めることができる だけです。しかしカメラのシャッタースピードを30秒に設定し、そのかすかな 光を写し止めるようにしてみました。
( Nikon D50 + TamronSPAF90mmF2.8マクロ )  神秘的な木々たちの姿が宵闇の中に浮かび上がります。目で見たとおりに写す のも写真の楽しさですが、眼で見えるその向こうにあるもの、それさえも写し止 められるのが写真の魅力であり、素晴らしいところでしょう。  夕暮れの湖畔の静寂をたっぷりと堪能した後、ヘッドランプの明かりを頼りに テント場まで戻りました。  もうすっかり暗くなっていましたが、遅めの夕食の準備です。天候が悪いとテ ントの中で食事をすることになるのですが、この日は天候が非常に安定していて 助かりました。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  今夜のメニューは、α米とレトルトのボルシチ・スープです。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  最近のα米はとても美味しくなっているので助かります。レトルトは最初から 水分を多く含んでいるので重いのが難点ですが、しかし1〜2泊程度の山行なら それも気にならないし、なにより乾物よりもレトルトの方が圧倒的に美味しいの です。(笑)  暖かい夕食を終えて、ほっとひと心地つきました。食事を終えるころ、池の周 囲を覆っていた霧が晴れて、空には星がまたたきはじめました。
( Nikon D50 + SIGMA20-40mmF2.8EXDG )  隣のテントの中のランプの明かりが、生地を通してうっすらと光っています。 まるでテントそのものが大きなランタンのように見えてとても綺麗です。  森の上に広がるかすかでそこはことない光。このほんのわずかな輝きですが、 しかし不思議に星の光には「永遠」を感じさせるものがあります。
( Nikon D50 + AF-Nikkor28mmF1.4D )  科学の発達した今では、それらの光がとても遠くにあるけれども実はとても大 きな恒星の光で、100億年を越える命を持っていることが分かっています。し かしそのようなことを知らないはずの昔の人でも、星には神秘の力があって目に 見える以上の輝きがあるということを感じていたのでしょう。西欧では輝かしい 活躍を見せる人のことを "Star"(スター)と呼ぶのはその現れです。  条件を様々に変えて、星の写真を楽しんでみます。時折、夜空にはジェット飛 行機や人工衛星などが横切るので、その光の軌跡を敢えて写しこんでみるのも面 白いものです。
( Nikon D50 + AF-Nikkor28mmF1.4D )  せっかくこのような場所まで来たのですから、惜しまずにたくさん撮ってみま しょう。上の写真の森がうっすらと光っているのは、露光中に自分のヘッドラン プの光を当ててみたからです。ただのシルエットではなく、ちょっとアート風な 表現になって面白いと思います。  このように星の撮影を楽しんでいたのですが、しかし星の撮影をするためには 当然のごとく三脚が必要、ということで、撮影中の傍らでテントは情けないこと に、へにゃりとつぶれた状態になってしまっていました。
( Panasonic LUMIX DMC-FX01 )  本人は非常にロマンにひたって良い気分なのですが、傍らから見たら、なんと も情けない状況です。さすがにこの時は私も苦笑せざるを得ませんでした。  さて、星の撮影を一通り済ませた後、再び三脚をテントの中に入れて、暖かい 寝袋でぐっすりと休むことができました。その頃、あたりは再び霧の中に包まれ てしまったようです。しかしそれもまた一興。自然は人間の力ではどうしようも ありません。ただあるがままの姿を受け入れるだけです。幸い、この池は晴れて いても曇っていても、それぞれに趣のある姿を見せてくれることでしょう。  明日はどんな風景が見られるのでしょうか。楽しみです。  その様子は引き続き、近日配信予定の「北アルプス・風吹大池(後編)」にて お楽しみください。 ◆今回の速報写真で使用したデジカメ◆ FUJIFILM FinePix-Z2 → http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixz2/
Panasonic LUMIX DMC-FX01 → http://panasonic.jp/dc/fx01/index.html
Nikon D50 → http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d50/
★★★ ブログの速報用デジカメ画像の生データをDLできます ★★★  今週のブログに掲載された画像データについて、「Exifデータを含んだデジ カメ画像のオリジナルデータ」を別途ダウンロードできます。  Exifデータとはデジカメで撮影した画像データにカメラの状態や各種の設定 (カメラ名、絞り値、シャッタースピード、ISO感度、ホワイトバランス、など) の情報を付随させたデータのことで、デジカメ画像の分析には欠かせないもので す。  熱心なカメラマンの方々の参考になればと思います。 ご興味のある方は下記のURLをクリックしてダウンロードしてください。 http://tory.com/j/others/mm/2006/10-18/ExifImages.zip
※Exifデータをご覧になるには "ExifReader","DPEx" などの  優れたビュワーソフトをお薦めいたします。 _____ _ |Nikon| _ ======= Nature Photographer Akio Torikoshi ====== +"--,/ \ --+ | *E-mail: akio@tory.com | |## j\_/o | | *Nature Photo Gallery : http://www.tory.com/
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